「悪い悪い!でも普通に考えて嬉しいだろ!?」
「そ、そこまで大げさなことじゃないよ……」
野村の喜ぶ姿を見て、ひなこは焦りだす。
「いや、嬉しいんだ俺は!
だってひなこちゃんと一緒に帰れるんだぞ!?
さぁひなこちゃん帰ろう!」
なんかひなこが悪い奴に誘われているような絵図だな。
「じゃ、じゃあ私たちは帰るね。
夕美ちゃんと菅原くん、バイバイ!
また明日ね!」
ひなこは断ることもせず、野村の後ろについていく。
「……だ、大丈夫かな、ひなこ……」
野村にひなこを任せるだなんて、なんか心配。
「へぇ、自分の心配じゃなくて友田の心配するんだ?」
ふたりがいなくなった瞬間、私の知る裏の菅原になり、私に話しかけてきた。
さっきは『帰ろう?』ってさわやかスマイルを浮かべていたくせに。