「ほ、ほらもう一個やるよ!
いっそのこと全部やるから!
いやぁうれしいなぁ、距離が縮まった気分だ」
野村はキラキラとした瞳で私にチョコの箱ごと差し出す。
本当は断るべき、なのだろうけど……。
「あ、ありがとう」
ダメだ、やっぱり断れない。
昔から私の悪い癖だ。
『夕美、あんたって頼まれたら断れない性格してるから気をつけなさいよ?』
『あんまり受け入れてると雑用とか任されたりするからな!』
小さい頃からずっと、このことに関してはよく親に注意されていたのを思い出す。
ただこの怖がられる見た目のおかげで、任せられることがないのだ。
そのせいもあってか、さらに断るような機会もなく、今も素直にチョコの箱を受け取ることしかできなかった。



