心臓がバクバクとうるさく鳴り、嫌な汗もかいてきた。
これは絶体絶命。
断れなければ私は菅原にキスをされてしまうのだ。
言うことを聞かなければキスをされるとわかっているのに、野村の言葉に対して素直に頷くことなんてできない。
かといってどうやって断ればいいのかもわからない。
クラス内に嫌な沈黙が流れる。
私は緊張するなか、必死に考えを巡らせて、ゆっくりと口を開く。
「……ひなこが困ってるから、ちゃんと場所考えて」
完璧に断った……わけではないけれど。
頷いたわけでもない。
だって本当に、今この場所で言うことじゃないし……私なりに頑張った。
ちらっと野村のほうを見れば、彼は眉を下げて落ち込んだ様子……かと思いきや。
「そうだよな……こんなところで言われても困るよな……ごめん、ひなこちゃん。だが俺は諦めないっ!
一位になって、ふたりきりの状況でひなこちゃんをデートに誘う!これならいいよな!?よし、決まり!」
一瞬で元気を取り戻し、結局いつもみたいに騒ぎ出してしまう。
空気もようやく和らぎ、またみんな野村を責め始めた。



