「お前、あとで覚えとけよ」
逆ギレだ。
これは絶対に逆ギレでしかない。
菅原は低く不機嫌な声でそう言って、睨み返してきた。
いや普通に怖いから!
それぐらい菅原の睨みには圧があった。
諦めて軽く俯く。
だって菅原がわけのわからないこと言うから……。
私、絶対悪くない気がする。
しばらくの間は手首を掴まれていたけれど、目的地である駅に着くまでには離されていた。
そして目的の駅に着いて電車を降り、ふたりでバーベキューをする場所に向かう。
改札を出て少し歩けば、少し遠くに海が見えた。
「菅原、見てっ!海!」
海だなんて本当に久しぶりだ。
最後に行ったのは小学生だった気がする。
なんだかワクワクしたため、つい口を開いてしまった。
「……あっ」
そういえば、まだ喋ったらいけないんだっけ。
恐る恐る菅原を見れば、もう彼は不機嫌そうな表情ではなく、穏やかな微笑みに変わっていたから安心した。



