だけど私は緊張のあまり、『おはよう』のひとことすら言えず、チラッと野村を見るだけでまた視線を前に戻す。
それだけだったのに、騒がしかった教室はあっという間に静まり返ってしまった。
最悪だ、どうして私はいつもいつも……本当に自己嫌悪に陥ってしまう。
「春坂さん、相変わらずクールだよな。
でも俺は好きだぜ、冷たい女子っ!」
だけど当の本人はあまり気にしていない様子。
“好き”だなんて、そんな簡単に言えるのが逆にすごい。
「いいか、春坂さん。
俺は春坂さんと気が合うと思うんだ」
うん、絶対それはないと思う。
ムードメーカーの野村と、周りから怖がられる私はまったく違うに決まっている。



