「……ひどい」
興味本位で私を恋人にするだなんて、ひどすぎる。
「恋人って好きな人同士で結ばれるものなんじゃないの……?」
「そんな世の中甘くねぇよ」
「じゃあせめて片方が好き、とかさ。
菅原は好きな人、できたことないの?」
もしあるなら、そういう気持ちとかわかるはずなのに。
菅原の返答を待っていると、ふと彼の表情が真剣なものへと変わった気がした。
「……いるけど」
その声は、ひどく落ち着いていて、静かなものだった。
いや、私は好きな人ができたことないのかって聞いたのに、今の返答の仕方じゃ不自然だ。
本来なら『ある』か『ない』で答えるのが普通なのに。
『いるけど』ってまるで、今も好きな人がいるような言い方……いい、かた……。
「えぇ!?い、今なんて!?」
「うるさい電車の中だ」
私は思わず大きな声を出してしまい、慌てて自分の口元を手で塞いだ。



