「私はひなこになりたい」
「えっ……どうして?」
「かわいくて女の子らしいから」
「絶対夕美ちゃんの方がいい!クールでかっこいいってみんな言ってるよ」
違うんだ、ひなこ。
クールでかっこいいじゃなくて、無表情で冷淡な女だって思われてるだけ。
それはひなこが思ってくれているだけだろう。
「ひなこは怖くないの?」
「怖い?何が?」
「私のこと」
「えっ……どうして夕美ちゃんが怖いの?」
ひなこは驚いたように目を丸くした。
じゃあ、本当に思っていないんだ。
「私って感情が表に出にくいし、よく怖いって思われるから」
「そんなことないよ。私は夕美ちゃんが優しくていい子だって知ってるもん」
ひなこはそう言って笑うから、なんだか泣きたくなった。
もちろんこんな人前で泣がないが、それぐらいひなこの言葉は嬉しかったのだ。



