ただなんて返したらいいのかわからず、じっと見つめていると、何やら腰に重みを感じた。
なんというか、何かが私の腰にまとわりつくこの感じ。
それは明らかに、誰かの手や腕の感触だった。
誰のものか確認しようと思っても、満員電車の中じゃ振り向くのも精一杯だからできない。
すると今度はその手に力が加えられ、私の体が菅原のほうに引き寄せられる。
ただでさえ密着状態だったというのに、さらにぎゅっとくっつく形になる。
何、これ……まるで抱きしめられてるみたい。
というか、もしかして今抱きしめられてる?
つまりこの手は菅原のもの?
抱きしめられているという事実がなんだか恥ずかしくなって、胸がドキドキし始める。