・・・まったく。何で靴を履き替えるだけでこんなに時間かかるかね。
軽く3分は越えてる。

「・・・遅いです。何してたんですか?マイペース星人和葉さん。」

笑いながら私のもとへきた彼女に少し皮肉っぽく言ってみる。
でもその少しの苛立ちは、ほんの数秒後になくなった。

「ごめんごめん、ちょっと友達と話してた。」

「・・・?」

「・・・何?」

“友達”。今、確かに和葉はそう言った。

高校入学から一週間。私にはまだそう呼べる人は学校内では和葉しかいない。いや、この場合、幼馴染みである和葉は数に含めてもいいのか?

でも、数に含めても含めなくても新しい友達が出来てないことに変わりはない・・・。


追い打ちをかけるように和葉が言葉を紡ぐ。


「・・・あ!天音は?いい友達見つかった?そういえばそっちのクラス可愛い子多かったよねー。今度紹介してよー」

「うぐっ」

「え?・・・返事は?まさか天音まだ・・・」

「な、何いってんのさ、和葉さん。流石に高校生になったもん。と、友達ぐらい出来ますよー。」

「だ、だよねー、心配して損したよー。」


ヤバいぞ・・・?
お察しの通り、私、本田天音は全くと言っていいほど友達ができません。
和葉が友達になってくれたのは奇跡。うん、すべての生き物に感謝感激雨あられだわ。
私が普通中の普通だったとしても和葉が友達になってくれる確率が低いのに。
っていうか、一般人が話しかけていいような雰囲気では無いし。


・・・いや、それは盛りすぎか。


和葉にも心配かけたくない。私も友達は多い方が楽しい。
ある程度のコミュ力は持ってる。
頭はまあまあいい方。
顔は・・・置いといて。世の中顔で決まるほど捨てたもんではない、はず。
でも運動は大の得意だし!!体育の評価はいつも最高点だし!?


・・・え、完璧じゃんワタシ。
キャリアウーマンじゃん。できる女!流石!!!

逆に何が足りないのって感じ。


答えは三秒で出た。
・・・こういうトコ。