「三井、今日凄く楽しみにしてたよ。卒業生答辞の挨拶文もあいつが読むことになってたんだよな」

柏木くんの胸元に造花をつけてあげている時に、彼は残念そうに私につぶやいた。

学年主席の秀才の三井くんは、卒業式の答辞の挨拶を先生から指名されていて、その下書き文も読ませてもらったことがある。

少し固いけど、彼らしい暖かい文章だった。

彼が答辞を読めなくなって私も残念でたまらない。

柏木くんは、三井くんよりも少しだけ身長が低くて、人の良さそうな童顔の男の子だ。

2人は本当に羨ましいほどに仲のいい親友同士。