私の専属ボディーガード

HRが終わり、いったん先生が戻って行ったあと、私は隣で男の子と仲良さげに話している樹くんに食い気味に声をかけた。


「樹くんっ、どうしたの?
なんで樹くんがこんなところにいるのっ?」


私の声に振り向いた樹くんは、そのキレイな瞳の中に私を捉えて、涼しげに答えた。


「そんなにびっくりした?俺がここにいること」


それはそうだよ!


私はぶんぶんと大きく首を縦にふった。


「ひっどいマヌケな顔してたなぁ葵。俺と目があったとき」


思い出すように、ふっと笑った樹くん。


いつもそう。
樹くんは私をバカにするのが趣味みたいだ。


「マヌケって・・・。ほんとにびっくりしたんだからっ」



「だって、目まんまるにして口もポカーンってあいて、ほんとにマヌケ代表って感じだったし」


想像してみれば、たしかにそれはマヌケ顔だ。


かぁーっと頬が熱くなるのがわかる。


「樹くん、てっきりあっちの学校に行っちゃうのかと思ってたから・・・びっくりしたんだよ」


頬の熱さをごまかすようにそう言うと。


「俺は葵から離れるわけにはいかないからな。仮にも大輝さんから葵を任されてる身として」


樹くんは唇の端をキュッとあげた。


大輝さんとは、私のパパのこと。


「えっ・・・!も、もしかして・・・」


「ちがう学校にいたら守るもんも守れない、だろ?」


私はさぁーっと血の気が引いたのを感じた。


もしかしなくもない。


思い当たる節はただ1つ。


「か、かっ、考えなおして樹くんっ!」


「無ー理。もう決まったことだから。
葵はただ、俺の隣にいればいいの。絶対に俺の目の届かないところには行かないこと。わかった?」


意地悪く笑う樹くんは、いつもに増して100倍かっこよく見えた。