『パパ行かないで・・・
一緒にあそぼうって約束したのにっ』
『ごめんな。今日はすぐ帰ってくるから』
警察官といっても、刑事の仕事をしているパパは急に仕事が入って家をあけることが多かったため、
小さい頃は寂しさからよくわがままをいって泣いては困らせていた。
お友達のパパは、公園に連れていってくれるし、寝る前に絵本も読んでくれるのに・・・。
さみしくなったとき、
ママはいつも私をギュッと抱きしめながら優しく頭をなでてくれた。
『パパはみんなを守るヒーローなんだよ』
『ヒーロー?』
『そう。みんなが笑顔で暮らせるように、悪い人と戦うヒーロー』
そんな優しかったママも、私が5歳のときに事故で死んじゃって。
もうママに会えない、ギュッてしてくれないし、頭もなでてくれない。
悲しくて、さみしかった。
それでもパパは、全然家に帰ってこなかった。