「いや、間違えてないけど。」

って 真面目な顔して如月がそう言った。

おかしくね?花火大会とかそーいうロマンチックが求められるようなものに、このあたしだよ?

1番合わないじゃん。
コイツの脳の構造が知りたいよ

「大変残念ではございますがー他当たってくださーい。」

「え、嫌だけど。ならどうにかして連れてくわ。」

いや、なんで諦めねぇの!?
普通ならここで諦めるでしょ。

「なら勝手にどうぞー」

あたしには花火大会とか祭りなんてそんなもの、昔から全く行った経験がない。

ふと、そんなことを考えながら屋上から見える景色をぼーっと眺める。

小さい頃から親は居て居ないようなものだったから。

ずっと仕事が忙しく たまに海外や国内遠征でほとんどいなかった。

父親は通訳家。母は芸能人。

あたしはそんな両親の忙しさに耐えて、毎年誕生日や正月、クリスマスとかも全部一人で過ごしてた。

そうするうちに中学生になって…ちょっと不良系の奴らとつるんでるうちにこういう喧嘩とかするようになっては 殴り合いを起こしてばっかだった

そんな状況を、海外や県外にいるくせに知った両親は

「桜庭の娘として本当に恥ずべき行為。芸能人の娘である貴女が 由緒正しい生活を 行動をしなくてどうするの?」

とか。父親はなんにも言わない。
何が由緒正しいだよって。

小さい頃からどんなときも仕事仕事仕事って 私の事もまともに見てくれなかったような奴に、そんなこと言われる筋合いないって反抗した。

そしたら何も言わなくなって次の日にはまた仕事で二人とも国外と県外へ。

ふざけてるよなって。そこからもまた殴りあって奴らとつるむ日々。だから普通の女の子みたいにきゃっきゃしたり そんな出かけたりとかしなかったし 女友達なんていねーし

そんなことしてたら金は出すから好きな高校行け。ってのでお金だけ渡されたから 腹いせにすっっごい金のかかる私立のここを選んだ。

まぁお金持ってるあいつらには痛くも痒くもないんだろーけど。

そんなことばっかしてたらもう高二だって。

ていうので、そういう普通の友達と普通な子として普通の事して過ごしてる如月とは 住んでる世界が違う。だからあたしに絡むなってのに。

そういう過ごし方ができてる如月や周りの子がどれほど羨ましかったか。
まぁ今となればそんなのは考えなくなったけど。

まぁ あたしには今の仲間がいるから それでいいんだって。


如月に何もしてもらわなくたってあたしは十分なんだよ。