それからというものあたしはさらにぼっち化してしまった。

まぁ別にあんな奴らみたいなダチなんて要らねぇし、特に気にもしてないけど。

唯一あたしに絡んでくるやつが1人だけ。

「ぬあああうざってえなぁぁ!!!なんなん!?救急箱常備してつけまわすなっての!!おめェは親か!?」

そう、言わずもがなこの男、如月だ。
如月はあたしが少しでも傷を作ると手当してきたり、一緒に帰ると言って家までついてくる。

「朝からそんな喚いてお前は犬か?それにもうそろそろ慣れるだろ」

そしてコイツが、その都度 決まって言う言葉は

『お前が心配なだけだ。心配して何が悪い』

と。

そんな心配いらねぇつってんのによぉ……

「くっそうぜぇな!!こんなの痛くもねえって!!」

あたしの抵抗は毎回効かない。
どうにかしてこいつに抵抗する術はないものか…

「そういや、もうすぐ夏休みだぞ。桜庭って花火大会とかプールとか、そんなん興味ねえの?」

と、如月が不意に呟く。
唐突だが、時期的には確かに蝉がうるせぇ時期になった。

「あるわけねえだろ……?あるように見えんのか如月には?お?」

確かにこの年代の女は舞い上がるかも知んねぇけど あたしにはそんな時期も、そんなイベントも疎いもので 毎日傷作ってた。

だから花火デートとか そんなの興味ねえし 火薬見てるだけじゃねえか、なんて思考さえもひねくれている。

「ていうかどうせ、如月だって女とイチャイチャすんだろ。んなのあたしに聞いたってなんの意味もなくねぇか?」

あたしは如月にそう言った。
だってファンクラブさえあるこいつの事だ。

女のひとりやふたり居るんだろうし、あたしとこんな話する必要性が 絶賛迷子中だ。

「あのなぁお前……俺そんな軽い奴に見える?」

「はい、かなり、いやだいぶ。」

即答で答えると、如月は呆れたように頭を抱えため息をついた。

「俺がこんな話する理由なんて一つしかないだろ…つくづく女子力ねぇのな」

なんて言うから、あたしはよくわからないこいつの回答に反論する。

「は!?今の会話のどこに、女子力を求められる場面があったんだよ!」

「だからさぁ…今度の花火大会、行かね?って、誘おうとしてたのー。」

一瞬、思考回路が停止する。

え?如月が?あたしと?花火大会?
ちょっと何言ってるか分からないこの状況。

「おまえ……誘う相手間違えてねえか?」