24話




 葵音が目が覚めると、目の前には白のワンピースを着ている黒葉が微笑みながら立っていた。
 葵音は、ふらふらと彼女に近寄って行く。

 あと少しで彼女に触れられそうだという時に、黒葉の顔が歪んでしまう。
 そして泣きそうな顔になったと思ったら、今度は葵音を強く睨み付けていた。
 彼女のそんな顔は見たこともない。
 

 葵音が黒葉に触れるのを躊躇った瞬間に、黒葉が葵音を強く突き飛ばしたんだ。

 そして、睨み付けながら「大嫌いです。」と言い去って行ってしまう。

 倒れたまま去っていく彼女を見つめ、葵音は呆然としてしまう。

 待ってくれ。
 今までの事は全部嘘だったのか?
 どうして突き飛ばしてしまうんだ………?
 好きだと言ってくれたのに。


 「黒葉っ!」


 そう大きく叫んだ瞬間。


 





 葵音はパチリと目を開いた。

 そこは真っ暗な部屋だった。
 目を開けた瞬間、頭や体に鋭い痛みを感じ、上手く体が動かせなかった。
 視線だけで周りを確認する。

 夜なのか真っ暗闇だったけれど、真っ白な天井に真っ白なカーテン、そして体からはいろんなコードが繋がれており、それが怪しく光る機械へと続いていた。
 ここは病院なんだと理解した途端に、葵音は意識を失う前の出来事を思い出した。