黒葉は、買ってあげた灰色に近い水色のパジャマを身につけ、葵音の布団にくるまって寝ていた。
 すやすやと気持ちよさそうに寝ている。


 「なんでここにいるんだ?」


 葵音は独り言を囁きながら、そっとベットに近づいた。サイドテーブルに置いてあるステンドグラスのライトが、彼女を優しく照らしていた。

 彼女の白い肌が、青や緑の色に照らされおり、神秘的な美しさを感じて葵音は息を飲んだ。
 気づくと彼女に手を伸ばしており、サラサラした髪を手ですいていた。

 何も考えることなくただ呆然と髪を撫でていると、「ん………。」と、彼女の瞼が動き、ゆっくりと目が開いた。


 「悪い……起こしたか。」
 「………いえ。あ、お仕事終わりましたか?」
 「まぁ、とりあえず。おまえ、なんでここで寝てるんだよ。」
 

 そう言うと寝ぼけながら、ゆっくりと体を起こしてから、彼女は目を細くして少しだけ恥ずかしそうに微笑んだ。


 「なんだか、寂しくて……。葵音さんと一緒に寝たいなと思ったんですけど、お仕事中だったので………。」
 「……だからって、ここで寝るな。せっかく布団買ってやったのに。」
 「だって、ここは葵音さんの香りがして落ち着くんです。」


 そういうと、黒葉はぎゅーっと布団に抱きついて、うっとりと目を閉じた。
 そういう自分の気持ちを照れることなく伝えてくる所が、彼女の良いところであり、恥ずかしい所だった。それでも、葵音は疲れていた心が癒されていくのを感じたので、きっと自分は嬉しいのだなと思った。


 「葵音さんは、今から寝ますか?」
 「あぁ………。」
 「………一緒に寝てもいいですか?」
 「………。」