「黒葉、どうした?」
「あ……楽しかったんですけど、少しだけくらっとしてきました。………疲れてしまったのかもしれません。」
「そうか。………とりあえず、ベンチに座ってろ。今、飲み物買ってくるから。」
「すみません………。」
シュンとしてしまった黒葉を慰めるように、優しく頭をポンポンと撫でると、急いで売店へと向かった。
温かいお茶を買って後、隣のお土産屋が目に入った。
あんなにもプラネタリウムを喜んでみていたのだ。彼女に何か買っていこうと、短い時間で選んで彼女の元へと戻った。
遠くから見ても、彼女の顔色が悪いのがわかったので、葵音はすぐに車に戻ることにした。
黒葉はとても悔しさそうだったけれど、疲れが酷いのか渋々帰ることを了承してくれた。
車に乗ってすぐに、黒葉は葵音を方を見て、申し訳なさそうに謝罪をした。
「ごめんなさい……せっかくのデートでいろいろ準備してくれたのに。全部ダメにしてしまいました。」
「いいんだ。俺が遠出させたのが悪かったし。それに、黒葉にプラネタリウムだけは見せたかったんだ。我が儘に付き合ってくれて、ありがとう。」
「そんな!………私の方こそここにこれて幸せでした。……けど、退院してから家事も全部こなせないし、出掛けることも出来なくて。葵音さんに迷惑ばっかりかけてて、ごめんなさい。」
退院してからと言うもの、黒葉はいつもこうだった。
自分は役に立ててない。心配ばかりかけている。葵音に申し訳ない。そんな事ばかりだった。
葵音はそれを言われる度に、彼女が目覚めなかった日々を思い出した。
あの頃の方が苦しかった。
彼女が日常にいなかった時ほど、切ない気持ちになったのた。