誰に声を掛けよう、


隣の人に声をかけるまで時間はかかったが、


何気ない一言から、会話は成立していった。


友達1号だ。


何か行動するまで時間はかかるが、心のター


ニングポイントがあれば、意外といけてしま


う自分の性格はよく分かっている。


少し自慢できる部分かもしれない。


声をかけるまでは、周りの笑い声を聞いて萎


縮してしまっていたが、ひとまず安心した。


まだ誰とも話せていない人を見つけるたび、


心の中で見下す。そんな悪い自分を許してし


まう。



家に帰ると、学校では気づかなかった新品の


制服から、汗の匂いがする。こんなに自分の


汗は臭いものかと落ち込んだが、緊張して出


る汗は臭いものだとネットに書いてあった。


しかし、こんな臭いでは花のjkではない。


中学の時に友達と話したjkにもうなってしま


った自覚はないが、少しは大人の女性に近づ


きたいという思いは増した。


高校デビューというほどの事ではないが、中


学の頃とは違う自分に少しなりたい。


男子にも興味がある。


15年間できたことのない彼氏への妄想が、膨


大なものになる前に、早く欲しいものだ。


おみくじに書いてあった『待ち人来たる』を


思い出す。さほど信じていないが、夜、枕に


声をぶつける。


「いるならはよこぉぉぉーーーいっ!」


ちょっと青春してるっぽいかも、と思った。