あれから数日が経ち皆が俺を王(吹雪)と呼ぶようになり何かと違和感が残っていた。

「吹雪様」
「アリアか?入っていいぞ」
「吹雪様…ミミ様の事ですが」
「ミミか…ミミの身体だけはアリアの魔法で今は管理されているからあまり魔力を消費するなよ?わかってるよな…」

ミミは今アリアの魔法で身体をゲージの中に入れ管理されている。ただ、膨大な魔力の消費がある為限られたエネルギーを持っている人達からほんの少し分け与えてもらい、アリアにも魔法が使えるようにしてある。

「吹雪様!私はこれからどう生きていけば…」
「アリア…心配するな俺が何とかする」

何とかすると言ったものの俺には魔法が使えない。でも何故か不安と好奇心が入り交じっている。ふとした時何かが起こるのでは無いのか?そんな事を考えていた。

「吹雪様…まずはここの城の王座の式に出ていただかなければなりません。そこで式をします」
「それはいつだ?」
「明日です」
「おーーーいーー!!それを早く言わんかい!!」
「吹雪様、全て魔法を使えば服から何から準備出来ますので任せてください」
「本当か?助かったぞアリア!」

俺はアリアの両肩を掴みながら笑顔で言った。
「吹雪様…えとその近いです…」
「あ、いやその。。ごめん。」

数秒沈黙が続き俺は気づいた。アリアは俺の事を王ではなく吹雪と呼んでいる事に。まあ特に何かある訳ではないが、何となくそれが心地よかった。それはアリアが仕えているミミが妹に似ているからだ。多分そうだろうそう思い込んだ。ミミが戻れば妹に会えたように感じるからだろうか。妹を重ねてアリアと話しているからだろうか。

「吹雪様…ですからちょっとお待ちください」
「お、おう」

その時アリアの周りから何か出て来る事に気づいた。
「…はっ!!」
「あっ、え……とこれは……?」

俺はあっという間にスーツに変わっていた。
「アリアでも式は明日じゃ…」
「あ、今の……はれ、練習です」
アリアは照れくさそうに言った。

そうこうしている内に一日が過ぎ。遂に王位継承の式の日になった。
「アリア…今日何だよな?」
「はい。」
アリアは少し不安そうな顔で俯きながら返事をした。
「吹雪様」
「どうした?」
俺はなるべく不安にならないように笑顔を振舞った。

「いやあの…何でもないです!!行きましょう!!」
「俺は」