芽依「先輩…ここほんとに登れるんですか…」

ここは、山ではあるが霧が凄く前が上に進むに連れて見えなくなる。相当険しい山だった事は100も承知だった。

吹雪「芽依、慎介、ここ登り切ったら皆で写真撮って登った事を報告しよう。そしてここに何があったのか、どうして登れなくなった山だったのか説明しよう。」

慎介「やっぱり…やめないか?ここ…今にも崩れそうだぜ?芽依大丈夫か?」

芽依は慎介に言った。

芽依「あのさー!登らない意気地無しとは誰の事?あれだけ登るって言ってたじゃん!口だけなの?」
慎介「別に、そういう訳じゃなくて…ただ」
芽依「ただ?」
慎介「お前が心配なんだよ。」
芽依「何か言った?」
慎介「なんでもねえよばか。」

俺はやっぱりこいつらと一緒に行くことは出来ない。親だって心配する、まだ部活に入ったばっかりの初心者だ。そもそも連れてくるのが間違えだったんだ。

吹雪「もう、俺一人でいく。おまえらはここで待ってろ。」
芽依 慎介「先輩1人で行かせるわけないじゃん!」
芽依「行きますよ??」
慎介「行くぞ皆」

慎介は2人の肩を叩きこれから登るよと合図を告げるように先頭を歩き始めた。

~1時間後~

慎介「芽依ー大丈夫かー」

芽依の声がしない。俺は嫌な予感がして慎介と同じく芽依を呼んだ。

吹雪「芽依いるんだろー」

やっぱり声がしない。この嫌な予感はなんだろう。

慎介「芽依がいない!芽依!芽依!」

この嫌な予感ずっとしてた嫌な予感。
芽依がいなくなる事かと思った時には既に遅かった。

吹雪「芽依!芽依!」

俺がきちんと周りを見ながら登っていれば、登っていれば…

吹雪「芽依はいつまで一緒にいた慎介!」
慎介「先輩…ごめん俺がきちんと後ろで見てないせいだ…ああどうしよう芽依が…芽依が」

吹雪は思った。慎介は芽依がいなくなったことで精神に異常をきたして何をしでかすか分からなくなっている。

吹雪「落ち着け慎介!」
慎介「芽依…芽依」
それでも泣きながら叫んでる。ダメだ慎介ももうおかしくなっている。

吹雪「慎介!!!」
慎介「…っ!」

慎介が急に何かに取り憑かれたものが消えるように目を覚ました。
慎介「俺は一体…」

吹雪「慎介…今お前は何かに取り憑かれたかのようにおかしくなっていた。」

慎介は気づいた。芽依がいなくなっていることに。
慎介「芽依!芽依はどこ!ねえどこなんだよ」
吹雪は大人しくその時の状況を大まかに説明した。その時慎介は泣きながら理解した。

慎介「探さなきゃ…探さないと」

吹雪「落ち着け。まずはこの場所から離れる前にやることがある。よく聞いてくれ」

俺は、慎介にまずGPS機能を携帯から一緒に離れないように、離れても場所が分かるように設定するように言った。
俺は、登る前にまずこれを付けていればと後悔をした。

慎介「先輩に言うの忘れてたけど、俺は芽依と電車に乗ってる時やってたんだ!もしかしたら」

吹雪「でかしたぞ!慎介!」
これなら直ぐにみつかるかもしれない。そしたら降りよう。だめだここは危険すぎる。

慎介「芽依…っ!!先輩このへんに…」
吹雪「芽依ー!!芽依ーー!」

俺達は可能な限り芽依を呼び続けた。だけど見つかったのは芽依の携帯だけだった。足跡が途中で切れてた何かに追われたのだろうか。それとも滑って落ちてしまったのか。

慎介「先輩…降りて助けを呼ぼう。」
吹雪「慎介いいかよく聞け。俺は残る場所が分からなくなったら困るだろ。慎介は降りたら真っ直ぐ警察へいけ。」
慎介「なんで残るなら俺残ります。」
吹雪「ダメだ責任とかじゃない。俺は芽依を部長として必ず見つけ出す。任せろ慎介。少しは俺を頼れよな。」

そう少し笑みを見せ慎介の気持ちを落ち着かせた。
慎介「分かりました先輩俺すぐ降ります。わからなくならないよう目印付けながら降りるんでもし、日が暮れる前に見つかったら真っ直ぐ降りて来てくださいね。」

慎介の言葉に俺は何としても芽依を探さないと見つけないと、と感情が溢れ出てきていた。
だがそれからまもなく約2.3時間が経とうとしていた所だ。
もう日も落ちてきてそろそろ本格的にお腹も空いてきた。まず宿を見つけないと…と思ってた時だった。
芽依「先…輩?」
吹雪「芽依…?芽依なのか!?」
芽依が同じ宿にしようとしていた所に逃げていた事が分かった。でももう夜遅くて降りるなら朝だ。

それから芽依と話をし今までの経緯を説明した。
芽依は納得し朝に降りることを承諾してくれたのだった。
その時だった宿にしていたところが一気に崩れ雪崩のようにガラガラと石や木が落ちていってるのが見えた。
芽依「怖…い死ぬのかな」
吹雪「ばかいえ死なせるわけないだろ」
何としても芽依は守ってやらないとそう俺も覚悟を決めたその時だった。
宿の入口が塞がれそうになっている事に気づき全力で芽依を呼んだ芽依は足に怪我をしていて動けない状況になっている事を隠していたのだ。

吹雪「芽依、いいかよく聞けこれから言う事は次の部長への伝言だ。俺はいまから芽依を入口まで飛ばす。一緒に行ったら塞がれて二人とも閉じ込められる。だから何としても芽依はでろ。出て次の部長までこの山は危険だと知らせてくれ。そして止めるんだ。」
芽依「だめ。先輩嫌だひとりにしないで」

芽依は俺の事が好きなのだろうか。俺は鈍感で最後の最後まで何もわからなかった。ただ好きだから部活に入ってくれたのだろうか。

芽依「ねえ先輩。先輩の事ずっと好きだから。ずっと好きだった」
芽依は俺にキスをしてその目は涙で滲んでいた。まるで宝石を見ているかのようだった。芽依はそのまま飛び前かがみになりながら入口を出た。
その時だった入口と一緒に俺の真上から岩が落下してきた。
吹雪「アイツ…うまくやってくれるかな…妹はどうしよう。親戚に預けないとな。もう死ぬのか」
岩が吹雪に辺り、吹雪の一面全てが岩になった。

芽依「先輩…嫌だよ1人にしないで。」

それから間もなくして誰かの声がする事に気づいた。

吹雪「ここは」
???「あなたは死にました。」
吹雪「っ?」
???「あなたは先程死にました。ですが!転生させてあげましょう…異世界に!」
吹雪「待って、異世界なんて冗談でしょ?これなに?ドッキリ?なんのテレビ?」
???「はて…覚えてないのですか?岩に落下で…まあいいでしょう。儀式を始めます。」
吹雪「嘘はやめてくれよな…って待って?え?は?なんで待ってえぇぇ」
吹雪は何が起こったのか記憶が薄ら薄ら消えて居ることに気づき気づいた時には異世界にいた。