「仲西 朔……」

間違いない。さっきまで桃香に散々写真を見せられて話を聞いた人を間違えるわけがない。どう見てもあの仲西 朔だ。

「あー…まじかよ…いたのかよお前…」

さらに終わった。と思った。注目されているイケメン俳優の恐ろしい素顔を見てしまった私は明日には消される。お父さんお母さん、今までありがとう。

「おい、面かせ。入れよ。」

ツラかせなんて初めて言われたよ私。ハイレヨ…入れよ？え、どこに。もしかして

「早く俺の部屋入れよ。」

「や…」

殺られる。彼の部屋で血祭りに遭う。あぁ…私の最期はイケメンの手によって亡くなるならそれはそれで…

………

「お邪魔しまーす…」

小声で言い、彼の部屋に入る。目に映るのはクローゼットとソファとベッドのみだった。

「家具も物もほとんど無い…」

「そんな事はどうでもいいんだよ。お前、SNSに俺の部屋の番号載せたりとかしねぇよな？？」

「は…なんで私がそんな事しなきゃいけないの？」

「なんでって…俺は今超大事な時期なの。みーーんなに大人気の仲西 朔くんなのね？そんな時にアンタに家の写真なんか載せられて押しかけられたり揉めたりしたくねぇの。」

「…皆がアナタに興味あると思わないで。私はさっきまでアナタの存在知らなかったから。早く寝たいから帰ってもいい？」

なんて自己中な男なの…。夜中に勝手に怒鳴って他人の女の子を部屋に連れ込んで脅し始める。本当にこんな奴が大人気なの？？

「俺の事知らないのかお前？そう言えば周りの奴らと反応が違う…。もっと騒いで興奮するだろ？」

「はあ？確かに顔はいいけどこんな口が悪くて性格が最悪な男好きになる訳ないじゃない！」


ちょっと言い過ぎた、確かに最悪だけど初対面でこんな暴言吐くのはいけなかったかな…

まあこの人はそんなことお構い無しに暴れてるんだけど


「こんな事言われたの初めてなんだけど…」

仲西 朔はそう言ってから黙り込んだ。

まずい…やっぱり言い過ぎた。しかも有名な芸能人に、消される。権力をふんだんに使って消される！