「ゆっくりで良いからね。」



そう言ってニッコリと微笑む彼女を見て、緊張が高まった。



生まれて初めての事情聴取。



白い机に警察官の人と対面して座っている私。



(どうしよ・・・・・・。こういうの苦手。)



能登(のと)と名乗った女性は、そんな私を見かねたのかメモ帳を取り出すと何か書いて私に見せた。



『話すのが無理そうなら、紙に書く?』



私は、コクリと頷いた。



それを見て安心したのか、能登さんは話し始めた。



「まず、最初はどこにいたか教えてくれるかな?」



私は、ペンを受け取ってメモ帳に書いた。



『バスの中にいました。ひなたが起こしてくれました』



「ひなた・・・・・・。あぁ、あの子ね。」



すると、能登さんは1枚の写真を私に見せる。



「この子で間違いないないかしら?」



白いセーラー服に身を包んだミディアムヘアの女の子。



間違いない。ひなた本人だ。



『はい。間違いないです。』



私は、昨日の出来事を思い出してみる。



一体、昨日のことはなんだったのか。



今でも思い出せない。



記憶を辿りながら私は話し始めた。