あの、私上最悪な幼なじみのアイツが話しかけてきたのは、寧々パンマン事件の次の日だった…
『おい!寧々ー!久しぶりだなぁ?』
と、嫌味ったらしい嫌いな声が鼓膜を揺らす。
『…』
反応したらそこで終わりと思い、私は無視をする。
『ちょっとさぁー?
この俺様に無視をするのもどうかと思いますけどねぇー?
寧・々・パ・ン・マ・ン?』
思わず、その言葉に固まる。
又、知られてしまったのだ。
あんまり人に言われたくはない弱味を。
でも、昔の私と同じじゃない。
昔の私は、そりゃ、幼稚園児だったし、直ぐ泣いたし直ぐ笑った。
直ぐ、動揺したりもした。
でも、今は違うのだ。
固まった体も直ぐに歩き出す。
『なぁ、昔のあの時の話、アイツにしても良いのか?』
それでも、この悪魔は話しかけてくる。
でも、無視をする。
しかし、頭の中に疑問がぐるぐると回り始めた。
(アイツに話してもって、“アイツ”が誰なのか分からない!)
いつもこの悪魔は、私が昔の弱味を話されると困る人を“アイツ”と呼ぶ。
(今回のアイツって誰?誰なの?)
頭の中に様々な候補が出てきて、考えが纏まらない。
すると…
『どうせ、今回のアイツが分からないんだろー?…
アイツってのは、成だよ…
瀬戸 成。
お前の隣の席のアイツだよ…』
流石に反応せざるおえなかった。
『成君に何をするつもりなの!?』
私は、怒った顔でそう言った。
『ははっ!やっと反応したな…』
と、嘲笑うようにこいつは言う。
私が唯一けなすこの、悪魔的な最悪の幼なじみの名前は久遠 晋哉(くどう しんや)。
幼稚園からの幼なじみで、最低最悪の人間だ。
昔っから、私の回りをうろちょろしては、罵倒や脅しを仕掛けてくる。
本当に最悪の人間だ。
しかも、理不尽な我が儘や理不尽な命令に背くと、様々な黒歴史をその時に一番言ってほしくない人に暴露される。
だから、昔っから、歯向かいたいのに、歯向かえないのだ。
『いいから成君に何をしようとしてるのか言ってよ』
『おーおー!…成とか言う奴に深入りしてるみてーだな。
でも、そんなにだとは思わなかったぜ』
と、意地悪で意味深な笑みを晋哉は浮かべる。
ますますイラついてくる。
でも、ここで耐えないと成君に被害が及ぶので何とか耐える。