洗面所で歯を磨き、顔を洗ったあと、紗良に誘導されリビングへと足を運んだ。
「あら、おはよう2人とも♪」
優子さんが朝ごはんを作ってくれていて、机にお皿を並べながら、笑顔で俺たちを迎える。
「おはよう!」
新聞を手に持ち、既に食卓についていた紗良の父親もこちらを向き、元気よく挨拶をしてくれた。
「おはよーう!」
「……おはよう……ございます」
紗良に続いて、2人に挨拶をする俺。
「さ、座って座って♪」
優子さんに促され、紗良の隣に俺は座る。
優子さんは紗良の父親の隣に座り、手を合わせて「いただきます」の合図をした。
「……いただきます」
団らんとしたこの風景。
なんだか、懐かしかった。
もっともっと小さい時……こんなことが、あったような。
あんまりよく覚えてないけど。
小さな頃は、俺の本当の家族も、こんな感じだっただろうか。
楽しく食卓を、囲んでいたんだろうか。
いつからだっただろう、壊れてしまったのは。

