その後は、“普通”に食卓でご飯を食べて、“普通”に接してもらえて、まるで本当に家族の一員のように、紗良の家族は俺を受け入れてくれた。
風呂にも入れてもらって、タオルが用意されてあって、そのタオルを手にすることによって、なんだかとても……人のあたたかさに触れているような感じだった。
「あの、お風呂……ありがとうございました……」
リビングにひょこっと顔を出して俺は紗良の母親にそう言った。
……あ。
てか俺、どこで寝たらいいんだ!?
まぁ、玄関でなんとかなる……。
てか、俺には外がお似合い……
「あ!そうだ!寝る場所の確保、してなかったわね!」
心が通じたかのように、紗良の母親が俺にそう言った。
「あ、いいです。外で寝るんで。」
「えぇ!!?ダメよそんなの!!外なんかで寝ちゃ風邪ひくわよ!!」
「え、いやでも……」
「私の部屋で寝たらいいじゃん!」
突然、後ろから声がして、一瞬肩がビクついた。
び、びっくりした……。
てか、え?
今なんて……
「……は?」
「私の部屋で寝ようよ!色々お話ししよ!夜更かしして、お泊まり会みたいじゃない!楽しそう!」
「いやいやいや、俺のこと、なんだと思ってんの?さすがに警戒しない?」
「え、レイはレイでしょ??」
「そ、そうだけど、そういうことじゃなくて……」
俺は紗良の提案をなんとか拒否しようとした。
俺は紗良にとって見知らぬ奴なんだ。
もっと警戒心を持って……
「あら、いいじゃない!楽しそうね!じゃ決まり!レイくんは、とりあえず紗良の部屋で寝ることにしてくれる?」
「はい!?え!?」
「何を驚いてるのよ〜、もしかして、一人部屋がよかった?だったら今空いてるところって……物置部屋しかないしなぁ〜」
「私の部屋、嫌なの……?」
カオスだ。
カオスすぎる……!!
「い、嫌なわけじゃ……ないけど……俺がその……女の子の部屋で寝るって……だ、大丈夫なのか?」
「え、何が?」
「何って……」
「紗良がいいって言ってるんだから大丈夫よ。あとはレイくんが了承してくれれば、寝床の確保は決定するのみ!」
な、なんで母親までもがこんなに積極的なんだ……。
普通娘と見知らぬ男を2人で寝かせるか……!?
危ないだろ!?
「…………じ、じゃあ……お言葉に…………甘えて…………紗良がいいなら…………」
「やったぁ!!いいに決まってるよ〜レイだもん!じゃ、2階行こ〜!」
なんで了承したぁぁぁ!!!
もし、もしものことがあったらどうする!?
寝ぼけて紗良に何かしたらどうする!!?
俺、マジで言葉に甘えすぎだろぉぉぉ!!!

