小学校の3年生まで、俺には家族がいた。


俺の家族は、みんなが言う“普通”の家庭とは少し違った。


父親は、穏やかで優しかった。


でも酒を飲めば、その性格は一変。


俺や母さんに暴力をふるうDV野郎だった。


母さんはいつも俺をかばうから、毎日身体は痣だらけ。


俺が母さんをかばいたくても、まだ小さな体では、大きな父親の力には到底かなうはずもなかった。


父親が母さんを殴り、蹴り、物を投げつける。


そんなことが目の前で繰り広げられる中、俺はその状況をただ見ていることしかできなかった。