俺は、逃げている。


嫌なことから。


傷つくことから。


自分が安全に居られる場所を探して、逃げている。


でも逃げきれなくて、消えようとした。


この世界から居なくなれば


俺自身が消えれば


もう嫌なことから開放されると思った。


紗良を自分と重ねてしまったんだ。


紗良に言った言葉は、自分自身への言葉。


自分自身への、言葉だ。


だけどそれを…………




「逃げてるよ。」




ぽつんと、そう聞こえた。