「ここ座って!」
そう促す紗良は、小さな机の壁側に置かれてあるクッションのようなところをポンポンと叩く。
「え、いや俺は床でいい……」
「床は足痛くなるよ!?」
心配そうに目を見開く彼女を見て、俺は言われるように、「じゃあ……」と言ってクッションに座らせてもらった。
そして紗良は、机を挟んで俺の前に座る。
紗良の方には、クッションがない。
「おい、足痛くなるんじゃなかったのかよ?」
「私はいーの!床に座るの慣れてるから!」
紗良の精一杯な俺への配慮なのだと悟った俺は、それ以上何も聞くことはしなかった。

