「ふふっ♪早くお父さん帰ってこないかな♪レイのこと、今すぐにでも紹介したいのに!」
紗良は俺の顔を見てまた笑った。
変な奴。
俺みたいなやつの、どこを紹介したいってんだよ。
「はい!紅茶よ〜♪よかったらドーナツも食べてね♪」
目の前にコトンと置かれたのは、可愛らしいカップに入った紅茶と、綺麗に並べられたいろんな種類のドーナツ。
紗良はカップを手に持ち、紅茶をひと口こくりと飲んだ。
「は〜おいしっ。レイも飲んでみて!」
紗良に言われるがまま、俺はゆっくりとカップの取手に手を添え、そのまま口へと運ぶ。
ひと口、紅茶を恐る恐ると飲んでみた。
温かく、ほんのり甘いレモン風味のきいた紅茶。
「……おいしい。」
俺の口からは、自然とそう言葉が出ていた。

