「ほら、あがってあがって!お腹すいた??3時だし、おやつにしよーよ!」
紗良はまた俺の手を引っ張ってリビングへと誘導していく。
彼女はなぜか嬉しそうな顔で、俺に笑いかける。
「レイくんだっけ?飲み物何がいい??ジュース?紅茶?」
紗良の母親も、なぜかルンルンとした気分を見せる。
「え、いや、俺は何も……」
「何遠慮してるの〜!あ、もしかして、アレルギーとかあったりする!?」
今度は慌てたような表情を見せ、俺の顔色を伺う紗良の母親。
「あ、いや、特にそういうのは……」
「温かい紅茶は苦手?」
「……大丈夫……です。」
「よかった!そこの椅子にでも座って待ってて♪」
紗良が「ここどーぞ!」と、椅子を引いてくれて、家族が団らんと食事をするような机の椅子に促される。
俺は無言で言われるがままストンと座り、紗良は俺の前に座った。

