「ただいまー!」
俺がモヤモヤと考え込んでいる間に、紗良は玄関のドアを開けてしまった。
やべ、逃げ……
「おかえり〜!あら!お友達!?」
パタパタと玄関まで走って出迎えたのは、おそらく紗良の母親と思われる女性。
ふんわりとした雰囲気を持っていて、紗良に似た大きな瞳をパチパチとさせる。
「うんそう!仲良くなったんだー!「レイ」っていうの!レイ、帰るとこないんだって、うちに居てもらってもいい??」
「オッケーオッケーよ!遠慮なく、居たいだけ居ればいいわよぉ!レイくん、私はこの子……紗良の母です!よろしくね!」
満面の笑みでオッケーサインを指で作り、紗良の母親は俺をすんなり受け入れた。
な、なんだ??
俺、知らない奴だぞ!?
犬でも猫でもない、人間だぞ!?
こんな見知らぬ男、こんなに簡単に家に入れていいもんなのか!?
マジで意味わかんねぇ!!
いやついてきた俺も俺だけど……!
大人ってもっと、冷たいもんじゃねぇのか?
はじめは動揺して、迷うもんじゃねぇのか?
ダメだ、疑問が多すぎる……。