フードをかぶり、下を向いて歩く俺と、気分が良さそうに前を向いて歩く紗良。
俺と紗良は真反対な気がするのに、なんだろうか。
この、紗良の手の暖かさから伝わる、安心感は。
……不思議だ。
「着いたよ!」
ハッとした時には、目の前には立派に建ってある一軒家がそこにはあった。
……て、いうか。
こいつの親、知らない男連れてきたら絶対怒るだろ……。
家に入れてもらえるわけがない。
だいたい、この女は無神経すぎる。
俺の何を信用して、家に入れようとするんだ。
思いつきのように俺を連れてきて……普通、もっと警戒とかするだろ。
「……なぁ、家の人とか、俺が入ったら怒るんじゃないのか?」
「え!怒んないよ〜!」
「いやいや、なんでんなことわかんだよ……。」
「お父さんもお母さんも、レイのこと絶対受け入れてくれるから大丈夫!」
また、歯を見せて笑う紗良。
そうだ。
俺はいつも、“邪魔者”なんだ。
こいつはよくても、大人たちには受け入れてもらえるわけがない。
俺は、みんなからの嫌われ者だ。