私たちが連れてこられた村は、小さく人も余り居ない。

「長老、ギルドのものを連れてきました」

「…うむ、わしがこの村を治めている長老じゃ。この村に良く魔物が入ってくるようになり、今では余り人がいなくなってしまったんじゃ…何とかしてくれんかの」

長老は、目を細めて言った。

「分かりました。しかし、私たちは…あのお城に元凶を倒しに行かなければなりません」

私は、遥か彼方に見えるお城に指をさした。長老は「あのお城に近寄ってはならぬ!あのお城は、強い魔物が住んでいるのじゃ…それでも行くのか?」と私たちを見据えた。

「はい。俺たちは、その覚悟で来ました」

「…仕方ない。今日はこの村に泊まっていきなさい」

長老は微笑んだ。レインが「…何故だ?」と首を傾げる。

「旅は、休息や慌てずに落ち着いて行動することが大切だからじゃ。それにお主ら、出発してから何時間も歩いたままじゃろ?」

「…ありがとうございます」

私たちは、この村で一日を過ごさせてもらうことにした。