そんな梅雨まっただ中のある日の放課後、傘を忘れたことに気づいて急いで教室に戻った。


‥あっ久野くんたちだ‥


ドアの隙間から教室の中で久野くんと他の男子4、5人で話しているのが見えた。

さっと教室に入って傘を取ろうと思った瞬間、


「てかさー、冬馬って小松のこと好きなん?よく一緒にいるけど」




‥久野くんと自分の名前が聞こえてきてその場で思わずフリーズしてしまった。

久野くんはなんて返すんだろう‥気になってしまって余計に動けない‥。


盗み聞きなんて良くないのは分かってたけどその続きが気になって‥。











「…あー‥別になんとも‥」







表情1つ変えずにぶっきらぼうに言う久野くん。









…分かってたことなのに心臓がギュンッて押しつぶされるかと思った。



‥久野くんが私のことなんとも思ってないことくらい知ってたはずなのに、それでも正直少しだけ‥



…少しだけ勝手に期待しちゃってた‥



バカみたい…。




「なんだよ〜つまんねー」

「まあ冬馬モテるしな」

「いやでも小松まあまあ可愛くね?」

「そうかー?C組の○○も可愛いやん」


そんないかにも男子みたいな会話を横目に


気づいたら走り出してた。