改めて私は……凄い人の秘書になったんだなって思った。
あんなにキラキラと輝いている。
あなたは立つべくして立った人……
ううん、更に高みを目指せる人なんだと思う。
そしてその隣に居るのは………
私だったらいいな………
その時までちゃんと秘書として居れるのかな………
契約解除…されてなきゃいいな………
人混みの中、突然私の手を取ったのは堀越社長で何も言わず私をその場から連れ去って行く。
一瞬何が起きたのかわからなくて引っ張られるがまま後にする。
とっさに壇上の副社長を見た。
明らかに気付いてる。
でもまだスピーチの途中。
こっちを睨みつけているのがわかった。
会場もスピーチに耳を傾けている為静寂だ。
声を上げれば注目を浴びるしスピーチを中断させてしまう。
お願い、動揺しないで。
最後までスピーチを続けて。
会場から出る間際、願いを託し副社長に向かって頷いた。
伝わったかどうかはわからない。
スピーチを続ける副社長を見てホッとしたところで扉が閉まった。
「ほんの少しで良いんだ、話がしたい。響也が居たらこうして話せないから…ごめんね、手荒な真似して」
パッと手は離れ自由の身になる。
「手荒過ぎて正直びっくりしてます。あと3分ほどで副社長のスピーチは終わりますのでそれくらいしか時間ないですけど…っ!」
急に腰から引き寄せられぶつかる。
今日はヒールが高いから見上げるとかなり顔が近くて堀越社長の唇が目の前にある。
慌てて離れようとしたら、
「そんなにアイツが好き?」

