「あ……大丈夫、です。とにかく船木さんのデータ送りますね…じゃあ、また」
携帯を切った後に再び視線が重なって……
倒れた衝動でバスタオルが取れて上半身裸で乗っかっている。
動かない紗和。
それはOKの合図なのか…?
ゆっくり近付く顔。
パフッと両手で口を押さえて阻止してきた。
え、またおあずけ状態…!?
「近過ぎ……です。あ、熱下がりましたね?」と額にも手を当てる。
でも女の力じゃ俺を退かせられなくてあからさまに視線を横に逸らした。
「うぅ……目のやり場に困るから早く服着てってば」
「あ、悪い」
ちょっと今のはやり過ぎだよな。
紗和の手を引いて起こす。
着替えにその場を離れた。
あんな顔……近くで初めて見た。
一瞬、止まんなくなりそうだった。
誰か止めてくんないとヤバイんだよ、俺……
紗和の前じゃ歯止め効かねぇ……
リビングに戻ってネクタイを差し出す。
「え…?あ、はい……」
恥ずかしくてしてくれなんて言えなかったけどすぐに理解して締めてくれる。
今回は立ったまま。
時々屈んで距離が縮まる。
また目が合って、逸らして。
襟を直す時に少し背伸びするから余計意識してしまう。
ほんのり漂う良い香り。
「終わり…ました」
「ありがとう」
紗和にネクタイ締めてもらえると何か力が湧く。
何でも出来る気がする。
上着も手伝ってくれて何か新婚気分?

