__じゃあここからは素の深山紗和です。毎日のように缶チューハイで晩酌する寂しい独身女ですが何か?笑われたって止めないんだから
__アテは何…?
__え、そこまで聞く?えっと…カマボコとか?魚肉ソーセージとか?
またクスクス笑ってる。
__ていうかこんな話どうでもいいでしょ、明日迎えに行くからちゃんと朝まで安静に寝ててね?
__朝まで長えよ……早く紗和に会いたい
確実に鼓膜まで届いた声は歩いていた足を止めてしまう。
__言っとくけど明日に会う私はいつもの秘書だって事忘れないでよね…
なんて、可愛げ無く言ってしまう悪い癖はなかなか直らない。
__もうどっちでも俺にとっては紗和に変わりねぇよ
__公私混同されるのが一番困るって前にも言ったでしょ
__公私混同しちゃうくらい……お前に惚れてんだよ、何回も言わせるな何様だよ…
ストレート過ぎて言葉が出て来ない。
二度目の告白……
またちゃんと言ってくれた……
この人に照れとか迷いとかはないのだろうか。
これほど応えに困った事はない。
上手に誤魔化したり切り抜けたりするのは、便利屋を始めてから得意な方だったはずなのに。
この戸惑いと尋常じゃない胸の高鳴りは冷静な判断を濁らせる。
__オイ、聞いてるのか?
__その件につきましては…後日改めて検討したいと思います……ではまた明日、お休みなさい
__は!?お前っ…!
何か言ってたけど一方的に切った。
そこから走って家路につく。
かけ直してこなかった事にホッとしながらヤバイくらい踊る心臓に手を当てていた。
もう………時間の問題だ……………