「ずっと居た……?」
「あ……勝手にキッチン借りてお粥作ったんですけど」
薬飲まなきゃだし。
でもちょっと余計だったかな。
副社長がどんな反応するか緊張が走る。
ゆっくり体を起こし腕を引かれ同じベットに座らされた。
優しい表情で手を握られ……
導かれるまま、見つめてる。
「今はどっちの紗和…?」
「え……?」
「秘書の紗和?それとも本物の素の紗和としてここに居る?」
急にそんな事言われてもどう答えていいかわからないよ……
秘書としてじゃダメですか?
まだ勤務時間だし。
でもきっとこれは……
何かを期待している顔……?
「言わずとも今は秘書に決まってるじゃないですか」
だからシュンとされても困るから……
「俺は紗和にあ~んしてほしいんだけど」
その容姿で甘えるとか有り得ないギャップ……
必死に隠してる素の私が出て来てしまう……
「だから……秘書なんだってば」
「いいじゃん、会社じゃないんだし」
それがなおさらダメなんじゃん……
こっちが必死に一線引いてるのに簡単に越えてこないでよ。
そんな瞳で見ないで。
握られてた手を解く。
お粥を一口すくいフゥフゥする。
嬉しそうに食べるとかそれ、母性やられるから。
「美味っ!ヤバ、一瞬で治る!」っておちゃらけながらペロリと平らげた。
熱あるんだよね?
辛いくせに。
あーんと口を開ける仕草が完全に心をくすぶる。

