検査結果はインフルエンザではなくただの風邪で絶対安静との事だった。
帰りは副社長の自宅をナビにセットする。
隣でスヤスヤ眠る寝顔を見て静かに走行した。
そしてあなた………
どんだけ人を驚かせれば気が済むの……?
これが自宅!?デカっ!!
そりゃ高級車の時点で薄々感じてはいたけどいざ目の当たりにしたら足がすくむ。
もしやと運転席にあったリモコンを押すとガレージのシャッターが開いてもう1台高級車が顔を覗かし失神しそうになる。
肩を貸して支えながら自宅に入っていく。
「副社長、寝室はどちらですか?」
「ん……この奥…突き当たり」
言われた通りの部屋を開けてベットに寝かせる。
女の力ではこれが限界。
仰向けに寝転ぶ副社長は熱のせいでまだ息が荒い。
そっとネクタイを外し第一ボタンを開けた。
布団をかぶせた後。
「紗和……」
意識が朦朧としてるのがわかる。
冷たいタオルを持つ手に副社長の手が重なって目を開けた。
「ありがとう……」
会社に居た時とはまるで違う弱々しい感じ。
ゆっくり休んでください。
音を立てないように部屋を出て行く。
長い廊下を歩いてだだっ広いリビングに到着。
家具も全部オーダーメイドでホテルのロビーみたい。
本当にここに一人暮らし!?
幾つの時に買ったのよ…おいおい。
「キッチン借りまーす」
手早くお粥を作り寝室へ。
まだスヤスヤ眠る副社長。
タオルで汗を拭いている途中で目を覚ました。
視線が絡んで私の動きも止まる。

