グラついた体は階段の方へ傾き、支えながら座らせる。
「病院行きましょう?準備して来ますのでここに居てください」
う……んと唸りながら壁にもたれる副社長を置いて階段を駆け上がる。
顔が逆上せてエレベーターを使う事など頭から抜けてしまっていた。
余計心拍数が上がるのに……バカだ。
準備を済ませ駐車場まで副社長を支えながら運ぶ。
え…………ウソ………マジ!?
まさかとは思うがアレじゃないよね?
恐る恐るキーをかざすと思いきり反応して大正解。
ウソでしょ〜!
白のBMWで左ハンドル!?
高級車、運転した事はあるけど左ハンドルなんてほんの数回だよ……
だ、大丈夫……私はゴールドよ。
ゆっくり助手席に乗せてシートベルトを装着する。
国産車に慣れ過ぎてる為、確認は怠れない。
黒革シートめっちゃ座り心地良い。
ミラーも角度を合わせていざ出発。
あ、座席もう少し前だ。
かなりの低速度で発進する。
どうしよう、これ絶対私じゃ縦列駐車出来ないよ。
直進方向で少しアクセルを踏むとビュン…!と前に出たので急ブレーキ!!
隣で寝ていた副社長も体が揺れて起きてしまった。
「病院着く前に殺さないでね……」
「は、はい……」
ヤバ……無事に辿り着けるだろうか。
ヒィ〜!車線変更難しい…!
中央がどの位置なの!?
ちょっと…ほとんど駐車券右側から取るじゃない。
誰か、左ハンドルの利点を教えて。

