信頼感とか言ってるけど、絶対絶対絶対疑ってるよね?私達の仲。
副社長だって皆の前で私に対する態度が急に変わったし。
またもや失態を犯した訳で………



それぞれの仕事に取り掛かる中、同じ秘書課の先輩が来て耳元で私に言う。



「お前って普通に言ってたね?キュンキュンするね〜」



思わず顔を見合わせたらウィンクされてニコニコしながら去って行く。
頭に血が上っていて気付かなかったけど、確かに言ってた。
お前って言ってたー!!!



ボロ出しすぎだよ。
やっぱり変に誤解されちゃってるじゃない。
ここで全力否定しても余計怪しまれるだけだし、もう後の祭りだ。




神戸製鉄のあらゆる情報を収拾し、堀越社長の人物像を模索していた。
皆が声を揃えて言うのはやっぱり女好きだという事。
しかし、HIDAKAにとっても神戸製鉄にとってもなくてはならない間柄なんだそう。
しかも副社長と幼馴染みというからたちが悪い。



時刻が迫ってきたので様子を見に行く。
ソファーで眠ったままの副社長のあどけない寝顔。
しゃがんで起こそうとしたけど、ほんの少し眺めてしまっていた。



短い髪に触れる。
長い睫毛が揺れて目を覚ました副社長が優しく微笑むから、不覚にもドキッとした。
額に乗せていたタオル、落ちちゃってる。



「もう時間か?」



「はい、あと20分後には」



体を起こすも頭痛がして辛そう。



「やっぱり私だけで…」



「ダメだ」



「意地っ張り…」



タオルを拾い行こうとすると副社長の手が止める。
そのまま隣に座らされた。