「やめてよ、その誘導尋問」



「実は昨日、自分から罠仕掛けちゃったりした…?」



「だ、だから違うってば!」



「ふーん、じゃあ惚れてないって言い切れる?」



便利屋たるもの、クライアントに恋愛感情を抱いてはならない。
脳裏によぎる社訓。



「当然よ、クライアントだよ?ちゃんとわきまえてるって」



嘘をつく罪悪感は心音が半端ない。
ニヤリと笑った姉に肩を組まれ「やっと紗和も私みたいになれたんだね?」と頷いている。
いつそんな共同連盟に入ったのかはわからないけど、疑いが晴れたならまぁいいや。



姉は別れさせ屋もしたりするから恋愛感情なんざとうの昔に置いてきたと言っていた。
置き忘れてどっか行っちゃったんだって。
それもそれで嫌だな。



「じゃあ手の平で上手く転がして、副社長からガッポリ稼ぎまくろう!エイエイオー!」



「エ……エイエイオー!」



手の平で上手く転がすってよくわかんないけど、ここは無理してでも姉に合わせておくべし。
どうか、これ以上疑われませんように…!