「大丈夫、です…!申し訳ありませんでした!失礼します!」
「あ……」と何か言いたそうにしてたけど長居は無用。
すぐに橘建設さんと合流して会場を出た。
プレゼンの結果は後日なのでその結果次第で報酬は決まる。
「紗和おちゅかれ〜」と事務所に戻るや否や抱きついてくる姉。
橘建設へのアフターケアを手厚くする事で話は落ち着いた。
相変わらずオンボロな事務所を見渡す。
「で、いつちゃんとした事務所になるの?」
「それは紗和がもうちょっと稼いでくれたらね〜」
いつもそうやって姉にはぐらかされてややうんざり。
着替える為衣装部屋に入る。
そこには、各業務ごとに見合った衣装がズラリと用意されていてそれぞれ自分たちで選んで現場に向かう。
雑用係は別室だが、デート服からオフィス用、パーティー、秘書…等、オールマイティーに富んだ衣装部屋になっている。
衣装を選んだら、5つほど並んだ狭い試着室で着替えるのだ。
早くガッポリ儲けて設備を整えてほしいと切に願う。
手応えもあまり感じれずやや不安が残った今回の案件。
数日後のプレゼン結果発表を前に事態は動き出した。
別の代行中、携帯が鳴ったので出てみる。
事務所からで姉の口調が珍しく焦っていた。
「え?今すぐ橘建設へ向かえって…結果出たの?え?」
違う違うと否定する姉の次の言葉に思わず立ち上がってしまった。
「HIDAKAの副社長がお見えになる!?わざわざ!?」

