周りで練習してる人達からも拍手されてるし。
渋々見に来た感を忘れてしまうほど見惚れてしまってた。
久しぶりに凄いモノを見た感じ。
近くまで来て「紗和」って呼ぶからビックリしたけど、滑りながらハイタッチとか無邪気だね。
自然と笑って、拍手を送る。
渋々見る苦痛感は全くなくてむしろ延々と見れる凄さ。
副社長の笑顔、キラキラしてる。
ヘルメットを脱いで髪をワシャワシャと戻しながら帰ってくる。
「カッコよかったよ」って言おうとしたのに片手でハグされ「ごめん、寒かったろ」と密着して言うとかずる賢い。
やっぱり私はこの瞳が苦手かも……
ポケットに手を入れる副社長に腕を絡めて歩く。
より近いし相手が話すたびに上目遣いが出来るのだ。
何をするのも左隣と決めている。
ランチで入ったラーメン屋さんもカウンターで座ってずっと近くをキープしておくの。
「もしかしてレストランとかを期待してた?」
遠慮がちに聞いてきてもすぐに合わせられる。
相手に無理させないのもルールだから。
「高級レストランやホテルだったらドン引きしてた」
これは本音。
やたら高めの店だとまんまじゃんってなるしお金で物を言う感は好きじゃない。
実はこのギャップ、緊張が解れて私には高感度高し。
髪を束ねていただきます。
「え?なに?」
食べてる私をジッと見てる。
食べにくいんですけど?
「いや、髪くくって食べるとかいいなと思って」
「あまりにも美味しそうなんで本気ですすろうかと」

