レンタル彼女………
引き受けたからにはやり遂げるけど、向こうはどういう心境なんだろう。
私に何を求めているのか。
まさか副社長に二重契約されるとは……
その日までデートに関して一切口にしない2人。
普通に日々の作業をこなして普通に会話している。
本当にこのまま何のオプションも付けないのか?
待ち合わせ場所に向かう間も不安が顔を覗かせていた。
100%の私って……一周回って素の私なんだけど?
オプションもないなら特に飾らずありのままで勝負するしかないと思った。
それに、前に一度レンタル彼女してるところバッチリ見られてた訳だし。
だったら真逆で攻めてみるか。
「え………!?」
ビックリした。
まさかもう副社長が先に着いてるなんて…!
壁にもたれて立っているだけで目立つ…まるでモデル並みのスタイル。
デニムシャツにニット帽かぶってるなんて意外。
前髪まで入れちゃって伊達メガネだし……なんか雰囲気違うけど、イケメン過ぎてすぐわかる。
代行開始メールを会社宛てに送信したら小走りで副社長の元へ。
赤いニットワンピースに黒のライダースジャケットを羽織った私にいち早く気付いてクシャッと笑う。
見慣れない姿にお互い照れたりしてさ。
「帽子かぶってる…」と指摘したら凄く恥ずかしそうに「昨日髪切った」って、かぶってたら見れないじゃん。
「見せて?」
「切りすぎたんだって…!」
照れる顔が可愛い。
素の副社長はとてもシャイなんだな。
「1回だけだぞ?」って見せてくれた髪型は本当に短く切ってて無造作でむちゃくちゃ似合ってた。
普段のワックス使ってる髪型より断然良い!

