代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉




すかさずマウスを動かし上書き保存した後、USBメモリを抜いてみせた。



「あっ……」



「こっちで仕上げればいいだろ?」



副社長室をチラリと見た深山は戸惑っているけど、その3分たりとも待ってられない俺は腕を取りその場から連れ去った。



「ちょっ…!副社長!?」



「俺を待たせるな、とにかく来い」



部屋に入るなり小声で応戦してくる可愛いやつめ。



「副社長っ…!皆の前であんな事したら誤解されるじゃないですか」



「誤解?事実だろ」



「……は!?」



「俺の女だって知ったんならそれでいいじゃねぇか」



「なっ…!!」



いちいち赤く反応して…もしかして俺を誘ってんの?



USBメモリを自分のパソコンに挿し、椅子に座るよう促す。



「そこでっ!?す、座れません!こっちでいいです!」と他の場所を指定したが強引に座らせた。
俺が毎日座るデスクに戸惑う深山はソワソワと落ち着きがない。



渋々と議事録に取り掛かるのを横目で確認した。
マウスを持つ手に触れたら驚かせてしまう事は百も承知で……肩を抱けば重なる視線。
吐息がかかりそうなほど近い距離に抑えきれなくなるんだ。



後ろから抱き寄せた瞬間。



拒まれても無理だった。
胸いっぱいお前を感じてしまったら……触れてしまったら……俺はもう自分を保てない。
強く抱きしめてしまう。



簡単に手を降ろすって事は期待していいって事だよな……?