「お願い、もうそろそろ本当の連絡先教えてください…!」
2年だよ?
これだけ待ったんだ、もう良いでしょ?
これで断られたら俺は本気で泣く。
目を閉じてお願いしていたら俺の手を包み込むように乃亜さんの手が触れる。
「じゃあタクシー呼ばないで」
「え…?」
驚いて乃亜さんを見たら目が潤んでてドキッとした。
え……泣いてる?
「今から私の言う事聞かないと…番号教えないから」
「は、はい……」
「じゃあ、ついてきて」
手を繋いでそのまま連れて行かれる。
服から水が滴るくらい濡れている俺を気にもせず中へ入っていく。
エレベーターに乗せられ11階を押す。
もしかして……部屋に入れてもらえる?
嘘だろ!?俺、男だぞ!?
一言も喋らないで隣に居る乃亜さんの横顔をバレないようにチラ見する。
急に心臓が暴れだした。
扉が開き、また手を引かれる。
玄関の鍵を開けようとする手を止めてしまう。
「ダ、ダメだよ、乃亜さんの部屋が濡れるし汚れちゃう…」
その場でシェルパーカーを脱いで絞る。
「そんなのどうでもいいから」と強引に中に入れられてしまった。
広い玄関。
真っ先にタオルを出してくれて受け取る。
「シャワー浴びて?」
「え…?」
「服、乾かしておくから」
「はい……ありがとうございます」
言われるがまま脱衣所で服を脱ぐ。
うわ、ガウンが用意されてる…!
さらっと用意出来ちゃうところはちょっとジェラシー。
他にも着せた奴居るのかな?とか余計な事を考えてしまう。
浴びた後、ガウンの袖を通し乃亜さんの居るリビングに行く。
「適当に座ってて」
「はい…」
ソファーに座るも何だかソワソワする。
見慣れない景色。
乃亜さんの生活感漂う空間。
ホットのダージリンティーを入れてくれていた。
びっくりして見たら「紗和から好きだって聞いた」だって。
紗和ちゃん、ちゃんとアシストしてくれてた…!

