そう豪語したのも束の間。
いきなり出鼻をくじかれる事になるなんて。
レンタル彼女の日から数日後。
役員会議でホテルの一室を貸し切っていた時の事。



かったるい空気は苦手で休憩中はロビーまで出て気分転換しようと思った矢先。
ふと目に入った光景に固まった。
この俺が見間違える筈がない。
前とは違う清楚な格好してるけどすぐにわかる。



40代半ばくらいのオッサンと腕を組んで仲良さげに歩いてる。
なんでこんなところに……?
スタイルといい、あの笑顔といい、あれは間違いなく乃亜さんだ。
また、別のレンタルなんだろうか。



フロントで何か言って離れた。
エレベーターの前で待ってる。
おい、この上って……!?
まさかあの野郎、部屋取ってんじゃねぇだろうな?
慌てて後を追う。



先にエレベーターに乗られ半分扉が閉まってる状態。
勢いよくボタンを押して扉の前に立った俺を、中に居た乃亜さんはびっくりした顔で見ていた。



「すみません……」



ギリギリセーフで乗り込む。
エレベーター内は3人だけだった。
乃亜さん側に立ち、静かに動き出す。



何かをする訳じゃない。
でも居ても立ってもいられなかった。
本当なら引き離したい。
チラッと階ボタンを確認したら23階が光ってる。
途中の階で何人か乗り込んできた。



23階に何があるんだ!?
万が一部屋に連れ込もうとするもんなら俺は阻止する。
例えレンタル中だったとしてもそれは違反行為だろ?
密室はダメだって書いてた。