内線で呼ばれるたびに周りから同情の哀れみが。
ならば先手を打とう。
あれこれ予測して3つ4つ先を読み自ら伺う。
いつの間にかやり合いみたいになってお互い息も荒くなっていた。
「副社長と張り合えるなんて深山さん凄い」とまで言われる始末。
最後の最後では手を叩いて笑う副社長。
「そこまでやれとは言ってねぇよ」ってお腹を抱えてる。
どうやら私の勝ちみたいだ。
笑顔がこぼれる。
皆が声を揃えて言う副社長の噂。
仕事に厳しい……これは当たってる。
ひとつ間違えたら鬼のようだ。
今までに何人秘書が代わったか数えきれないらしい。
怖いから誰も副社長には付きたくないんだとか。
あのルックスの為モテ過ぎるよう。
これも……当たってるな。
確かに綺麗な顔立ちだ。
アップは眩しすぎて耐えれないかも。
女性絡みはお金と地位で解決してきたとか何とか。
これは…確認しようがない。
誰も怖い部分しか知らず腫れ物を触る感覚だ。
目の前で笑うこの副社長は私しか見ていないという事!?
もしかしてレアなの!?
ていうかこの人………絶対損してる。
こうやって笑えばいいのに。
そしたらもっと下の人間は付いてくると思う。
隙きを与えるのが嫌な人なのかな?
周りが言うほど怖い人間…ではないのかも。
毎朝必ず私を見ては微笑んでくれるし容姿を褒められる。
エレベーターで2人きりになった時に「今日も合格、俺の隣に相応しい」と言われ冷静な対処として「ありがとうございます」と一礼。

