「えっと……もう、頭に入りましたので」



「え……?」



一度見ただけで頭に入るだと?
しかもパラパラだけでっ……速読術!?
何なんだこの女は!?
だとしたらこの手法で俺のマニュアルも!?



目を丸くする俺と頬を赤らめている彼女。



「深山っ!!」


「はいっ!!」



「最高の秘書となれ」



「はい…!」



「俺だけのな」



「………はい」



戸惑っている彼女を残し資料室を後にする。
廊下に出て誰も居ない事を確認したら、まだハッキリと覚えている近距離で見る彼女の美貌に興奮気味の俺はガッツポーズや訳のわからないダンスをしてしまった。



どんどん、自分が自分でなくなっていく気がする。
存在が気になって仕方ない。
あの潤んだ瞳を俺だけのモノに出来たら……